HOME

 今日は雨模様、おらが町のキツネさんポリスは二人一組で町の見回りのミニパト勤務をしている。今日のような雨ふりは例の場所が良いかもと、とある公○人役場の近くの建物の死角に、ミニパトを止め陰にひそんだ。若いひょろ長い新人キツネさんポリスは先輩キツネさんからいろいろ仕事を教わろうと意気盛んだ。やる気が深くかぶる制帽に出ている。

 「先輩、なぜこんなところで待ち伏せするのでしょうか?・・おせーてください」

 「まあ、黙って見ていなさい」

 先輩キツネさんが言った。うだつの上がらない万年ヒラで小太りタヌキのような中年キツネさんは静かに確信をもって言った。

 すると、役場の駐車禁止場所のビル前に一台のこきたない車が止まり、キツネさんポリスが見張っているとも知らないで獲物は、ハザードを点滅させ、焦って車のドアを開け閉めして、大事な申請書類が雨に濡れないように抱え、ビルの中に駆け込んでいった。

 「あ、先輩、駐車禁止の場所に獲物が掛かりましたよ。とっ捕まえましょう」

 「まあ、待ちなさい。今、捕まえても面白くない、考えがある少し待とう」

 しばらく待って、駐車違反の車両番号を呼びながらそこをあえて通り過ぎて行った。

 「車両番号○○-○○の運転手さん、この場所は、駐車禁止です直ちに移動してください」 拡声器を鳴らした。

 呼ばれた車両の運転手は、バタバタバタと、ビルから飛び出してきて車に飛び乗り、仮の駐車場所を探してその辺をうろうろ探し回り始めた。あおりを掛けられた獲物は、巣からビックリして思わず飛び出した。

 「いいか、あの獲物は、いろいろ駐車場所を探しているが、やがて少し離れた住宅街に止めようとするはずだ。先回りして   ひそんでおこう」

 「さすが先輩、獲物の行動パターンが読めるのですね。勉強になります」

 獲物は案の定目安をつけられた場所に車を止めた。

 「あ、先輩、駐車場所が合法的な場所に止めやがったですよ」

 「まあ、慌てなさんな、考えがある、黙って獲物の車の側を通りすぎて行きなさい」

 ようやく見つけた駐車場所に車を止めたが、そこへミニパトが無言で側を通り過ぎて行った。そこへ車を止めてはダメよ、イイよとも言わず黙って通りすぎて行った。・・・・獲物は、レッカー車を呼ばれても困る。泣く泣く、またまた そこから移動させることとなった。役場に提出した申請書類も気になるし、焦っている。

 獲物を、あおり 通り過ぎたミニパトは、例のように建物の陰に隠れ、すかさず監視体制に入った。

 「先輩、あの場所は、合法的でしょう、なぜ?通りすぎた後、此処で隠れて監視しているのですか~???」 新人キツネさ んは、 意味がわからず、聞いた。

「バカタレ、このくらいもわからんか。合法的な場所でも、パトが側を通るだけで獲物は、悪いことをしていると焦るものだ。よ うする に あ・お・る と言う業界用語だ。よく覚えておけ」  万年ヒラ・タヌキ太りのキツネさんは言った。

  「しかし、移動して行ってしまいましたよ~」

 「おまえは、ほんとにバカタレだな、よく見とれ、あの獲物は今からあの道路を右折して例の巣へ戻る。あの右折場所は、道路交通法の22条1項、118条1項1号、例の2は同法施行例1条の2の例による。規則時間午前七時から午後八時まで。の通行禁止違反だ」 うだつの上がらない万年ヒラのタヌキ太りは言った。後輩にわずかな知識をひらけかざした。

 「さすが、先輩、最初の駐車からここまでの獲物の行動パターン、追い詰めるためのテクニック。あのタイミングの あ・お・り。手に取るように獲物の心理状態を把握しているのですね。いやあ~勉強になるなあ~。リスペクトしちゃうな~。でも?獲物は移動してしまいましたよ」

 「おまえは、ほんとに成長しない奴だな、これからが真骨頂じゃないか、いいか、動物というものは帰巣本能がある。あの獲物はあの巣の近くに帰っている。しかも、追い込みテクニックのあ・お・り もすでに学習している。となると 獲物が思いつき、たどり着く、最後の駐車場所はどこだ?」

 「あ、そうか。・・・・先輩、すぐ側のコンビニの駐車場でしょう。なるほど、獲物を心理的に焦らせ、あおり慌てさせ、冷静さを無くし、自分の描くシナリオの通り、獲物を追いつめ、とどめを刺す。しかも、獲物が帰巣するはずの、近くの木の枝ぶりまで頭の中に入っている。 いやあ~勉強になるな~、忘れないように書いておこう・・」

 ミニパトのキツネさんコンビは、悠々と急ぎ 例の場所を赤色灯も点けずに、えものが止まっている止まり木に向かった。コンビニの駐車場には獲物が車のロックを掛け、まさに巣に帰ろうとしていた。獲物の風体は、中肉、中背、ネクタイに白いYシャツを腕まくり、頭髪は、逆モヒカン的ヘヤースタイル。典型的なウチナー中年の人相だ。

 「いいか、おらが町のミニパトのキツネさんたるは、町民に愛される公僕でなければならない。くれぐれも、いかなる時も、住民に威圧や威嚇を何人にもしてはいけない。警戒させてはいけない。まして、今回の交通違反は、証拠が無い、自白がカギとなる。獲物と接触する場合、さりげなく、友人に接するように、こう言え」

 タヌキ太りの万年ヒラの先輩キツネさんは、若いひょろ長い新人キツネさんにアドバイスをした。そして、コンビニの駐車場に獲物の車と並列にミニパトを止め、ヒョロ・キツネは、教えられたように、優しくこう言った。

 「こんにちは~、運転手さん、このP車は、運転手さんのP車ですか~?」

 「おー よ“」  獲物は警戒して、残り少ない羽毛を逆立て身構えた。

 「運転手さんは、今日は、お仕事でこちらに来られたのですか~」 相手の警戒を解きながら接する。作戦を変え、二人して話しかけ(尋問)する。

 「運転手さん、先ほど、住宅街を右折してこちらに向かったでしょう?」

 「おー よ“」  獲物は警戒して、残り少ない羽毛を逆立て身構えながら、それがどうした、とばかりに答えた。

 「あそこは、右折禁止なんでげすよ運転手さん」・・・自白証言をとった。とばかりにタヌキ太りは言った。それでもまだ違反切符グッズに手を掛けない。もう少し遊んでやろうと思い、獲物にいろいろ質問をしてきた。

 獲物は、「そんな標識はなかった」 とか 「知らなかった」・・・・・・ とか言い訳を言い始めた。

 キツネさんたちは、この時間が好きだった。獲物が目をむいて必死に逃げに入っったり、向かってきたり、反対に、しり寄り添ってくる瞬間が好きだった。こう来たらああ言え、ああ来たらこう言え。と打ち合わせしたとおり事が進む。

 キツネさんコンビは、相手をしながらいったん場を落ち着かせ、放免するように見せかけ、獲物がほっとする表情を斜めに確認して、ほくそえみながら、メーバー・ウスイカンティーしながら、そろそろと違反切符グッズに手をのばす。

(メーバー・ウスイカンティーとは 沖縄の方言である。 前歯をつい見せてしまうほど嬉しい事。 又は、してはいけない場面で前歯を上下の唇で覆い隠すことが困難なほど心理的に嬉しい場面を総じて言う)

 その顔、それを見た獲物は、一切の弁解を止める。すり寄りも逃げも止める。そして苦々しく諦めぶつぶつ言い始める。観念して奥歯を噛みしめる。 罠にハマったと諦める。

 キツネさんたちは、この瞬間がとても好きだった。売上ノルマも達成できるし一石二鳥だ。うだつの上がらない勤務もこの瞬間だけは、なぜか好きだった。その瞬間の為にも、狩りのテクニックを上げるように切磋琢磨してきた。

 ヒョロ長のキツネさんが切符を切ったが、性は合っていたが名は間違えていた。そして罰金の金額はナナセンエン也だった。

 獲物は、二度と交通違反はすまいと誓った。違反は当然・遺憾。絶対に遺憾。・・・・・なにびとも交通違反はいけない。それもあるが追い込まれ、誘導され、監視され、摘発されることは・・・・・精神衛生が非常に悪い、しばらく精神的に痛く長く響く。・・・・・・・ビルの陰から現れ、もみ手、すり手で、まいど、といった具合に青切符を切られるのも精神衛生上悪い。

-なにびとも交通違反は絶対いけない-

     ☆上記の作文は、罰金以外は、夢の中の出来事を再現したものです。苦情や抗議は一切受け付けませんのでご了承下さい

  

 格言 ----  夢は、時に、実際に起きた出来事を鮮明正確に再現する場合がある。  by  メーバー・U・カンティー

-番外編読人しらず-

警官:「20キロオーバーですね。免許証出して」

若者:「ちょっとぉ、勘弁してくださいよ。スピード違反の車なんていっぱいいるのに、なんで俺だけ捕まるんすか?
不公平じゃないですか。ほら、今だってスピード違反してる車はたくさん通ってますよ」

警官:「あなたね、釣りをする人が、川にいる全部の魚を釣ろうとしてると思いますか?
運の悪い魚が少々釣れれば、それで十分なんです」

イソップ物語
もどる