* 経営事項審査の概要
経営審査とは、公共工事への入札参加を希望する建設業者の方を対象にした施工能力等に関する審査で建設業者の方の申請をもとに行われるもので、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者の方は、受審が義務付けられています。ですから、国や県、市町村等への入札を希望する場合建設業者の方は、この審査を受審しておかなければなりません。 さらに、受注にあたっては、発注者と請負契約を締結する日の1年7ヶ月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければなりません。
(1)この審査には建設業の経営規模の認定、技術力の評価、社会性の確認、経営状況の分析があります。
(2)経営事項審査は、申請により行われます。
(3)経営事項審査を受ける業種は、建設業法の許可が必要です。
*上記(1)(2)(3)それぞれについて客観的な評点がつけられ、それらをもとに客観的事項 全体についての総合的な評定の結果である総合評定値(P点)が算出されます。
改正後の評価項目表平成20年4月1日から施行 |
見直しの方向性
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ウエイト
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評価点幅
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評価項目
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備考
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X1
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0.25
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2.200~400点程度 | ・完成工事高(業種別) | ・評点の上限(現行2000億円)を1000億円に引き下げ
・小規模業者間で完工高の評点に差が付くよう評点テーブルを修正 |
X2
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0.15
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2.200~400点程度 | ・自己資本(=純資産額)
・EBITDA (利払い前税引き前償却前利益=営業利益+減価償却費) |
・自己資本、EBITDA、の金額を評価 イービットディーエー・利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却費 ・中小業者の層で極端な差がつかないよう評点テーブルを調整(X1の補完的指標として位置づけ) ・職員数の評価項目は廃止 |
Y
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0.20
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1.400~0点 | ・純支払い利息比率
・負債回転期間 ・売り上げ高経常利益率 ・総資本売り上げ総利益率 ・自己資本対固定資産比率 ・自己資本比率 ・営業キャッシュフロー(絶対額) ・利益剰余金(絶対額) ・ |
・企業実態を反映した評点分布となるよう評価幅等を見直し
・特定の評価項目への隔たりを緩和し、倒産判別に関連の深い指標を中心に、評価項目を見直し |
Z
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0.25
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2.400~400点 | ・技術者数(業種別)
・元請完工高(業種別) |
・元請のマネジメント能力を評価する観点から新たに元受完工高を評価
・技術者数と元請完工高をそれぞれ数値化して足し合わせることとし、両者間の評価ウエイトはおおむね4:1程度とする ・技術者の重複カウントは1人あたり2業種までに制限 ・一定の要件を満たす基幹技能者を(法令に基づく制度化が前提)優遇して評価 ・監理技術者講習受講者を優遇して評価 ・評点テーブルを線形式化 |
W
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0.15
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1.800~0点 | ・労働福祉の状況
・建設業の営業年数 ・防災活動への貢献の状況 ・法令遵守の状況 ・建設業の経理に関する状況 ・研究開発の状況 |
・評点の上限を引き上げ、それぞれの項目について加点幅・減点幅を拡大
・自己申告による評価項目(工事安全性、賃金不払い状況)は廃止 ・労働福祉の状況は評価項目を整理統合(例:退職一時金制度と企業年金制度) ・法令遵守の状況は、審査機関内における建設業法に基づく監督処分の状況を評価 ・建設業の経理に関する状況は、社内で雇用する公認会計士等の数の評価に加え、会計監査を受けている場合又は会計参与を設置している場合に加点 ・研究開発の状況は業種別に評価するのが困難なため、Zから切り離してWで評価。また、評価対象は会計監査受審企業に限定することとする。 |
改正後の計算式 |
・ウエイトを0.2から0.25に引き上げ
・新たに元請完工高を評価項目に追加
・新たに省令に位置付けられた登録基幹技能者講習を終了した者を登録基幹技能者として評価
・1人の技術員を複数業種でカウントすることを制限(1人2業種まで)
・改正後の技術者の評価に係る分類は以下の通り
1級技術者
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基幹技能者 |
2級技術者
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その他
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監理技術者資格保有者かつ監理技術者講習受講 | 1級技術者であって左以外の者 | |||
6点
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5点
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3点
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2点
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1点
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①10年以上の施工実務経験者で、かつそのうちの3年以上の職長経験者であること。
②職長・安全衛生責任者教育を終了していること。
③職業能力開発促進法に基く、1級技能士、若しくは、建設業法に基く1級又は2級施工管理技術者に資格を有する者。
④職長経験について事業者の証明があること。
Wの改正 |
改正の概要
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○ 評点の上限を引き上げ、特に労働福祉の状況や防止協定の締結、営業年数等について加点・減点の幅を拡大 |
○ 法令順守状況を評価項目に加える一方、自己申告による評価項目(工事安全成績、賃金不払い状況)を廃止。 |
○ 経理の信頼性の向上に取り込む企業を評価する観点から、新たに監査の受信状況を評価。 |
○ 研究開発の状況として、新たに研究開発の金額を評価(会計監査人設置会社に限定)。 |
改正案
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備考 | |||
W1労働福祉の状況
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45
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W1
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雇用保険未加入
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-30
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・賃金不払い件数は自己申告の為廃止
・退職一時金、企業年金は一つの評価項目に統合 ・残った項目について、加点幅・減点幅ともに倍に引き上げる ・現行ではw1項目全体での下限が0点となっているが、これを撤廃する(保険未加入のマイナスがw全体に影響するように)。 |
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健康保険・厚生年金保険の未加入
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-30
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建退協加入
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15
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退職一時金もしくは企業年金の導入
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15
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法定外労災制度への導入
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15
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空き
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空き
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W2:建設業の営業年数
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60
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・上限、下限(5年~35年)は現状のまま、加点幅を引き上げ | ||
W3:防災協定締結の有無
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15
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・評価内容はそのまま、加点幅を引き上げ | ||
W4:法令遵守の状況
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-30
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・審査期間内に営業停止処分を受けた場合は-30点、指示処分を受けた場合は-15点。 | ||
W5:建設業経理の状況
監査の受審状況 20 |
30
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・会計監査人の設置20点、会計参与10点、社内の経理実務責任者(公認会計士等数の現行加点対象資格者)のチェックリストに基づく自主監査2点。 | ||
W6:研究開発の状況
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25
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・加点対象は会計監査人設置会社に限定し、公認会計士協会の指針等で定義された研究開発費の金額を評価 | ||
合計
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175
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監査の受審状況と研究開発の状況を除いた合計
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130 |
* このように入札参加申請時には(P)点が重要となります。さらに、土木一式工事、建築一式工事、電気工事、 管工事、舗装工事、に関しては、(P)点の点数により、格付(ランク)があります。各業種種目ごとに格付けし、 各発注工事はその施工能力に適した業者に受注させます。つまりは自社の工事能力以上の工事の受注は出 来ないこととなります。 |
☆ 尚 ・経営事項審査を受けようとする業種によっては、完成工事を振り替えることができます。
「移動先に実績があることが必要です。」 |
/
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移動先工事
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← 移 動 元 工事
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一式工事
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土木一式工事
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とび・土工・コンクリート工事、舗装工事、水道施設工事
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建築一式工事
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とび・土工・コンクリート工事、大工工事、左官工事、内装工事、屋根工事、建具工事
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専門工事 | 電気工事 |
電気通信工事
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管工事 |
消防施設工事、水道施設工事
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☆ ・とび・土工・コンクリート工事については、当該工事の内容が土木工作物、または建築物のいずれかに係る建設工事であるかによって、次のとおり完成工事高を振り替えることができます。 |
区分
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工事内容
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移動先
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とび工事 | とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚量運搬配置工事、鉄骨組立工事 | 建築一式工事 |
解体工事 | 工作物解体工事 | 建築一式工事 |
土木工作物工事 | 土木一式工事 | |
くい打ち工事 | くい工事、くい打ち工事、場所打ぐい工事、くい抜き工事 | 土木一式工事 |
コンクリート工事 | コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストコンクリート工事、コンクリートブロック据付工事、テトラポット工事 | 土木一式工事 |
法面工事 | 地すべり防止工事、吹付け工事 | 土木一式工事 |
道路付属物設置工事 | ガードレール工事、カーブミラー工事、交通標識設置工事 | 移動不可 |
土工事・他 | 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛り土工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、土留め工事、仮締切り工事、揚壁工事 | 土木一式工事 |
フェンス設置工事、私宅のブロック積み工事 | 移動不可 |
大工工事 → 建築一式工事 ×
→ 大工工事 ×
・移動した工事は、審査対象として申請できません
例 → 工事内容により移動が出来ない工事を移動元に残して、または、完成工事高を0として審査対象として経営事項審査を受けることは出来ません。
建設業法に基づく事業年度報告の「工事経歴書」における、土木及び建築一式工事への計上は、これまで原則元受のみを対象としてきましたが、今後下記のとおり取り扱うこととしますので、貴会員への周知方お願いいたします。
記
下請け工事についても、下記要件がいずれも満たされ、確認できる資料の提供がある場合については、例外的にこれを認める。
●要件
1.下請の工事請負額が2.500万円以上(建築一式工事は、5.000万円以上)であること。
2.工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施行することが困難であること。
●確認資料
・工事契約書
・特記仕様書または見積書等、工事の内容が確認できる書類
●適用時期
・取り扱いの変更の時期については、平成19年1月1日以降の決算日のかかる事業年度報告からとする。