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 先週、あまりに腰が痛むので近くの総合病院へ行ってみた。総合受付は、最初に,プリントを差し出し、ご了承くださいと言ってきた。プリントには「厚生省の推す、地域における病院と診療所の機能分担の明確化、かかりつけ医の定着化・・・・・・云々・・・紹介状なしだと特定療養費の徴収・・・・・二千ひゃくえん(税込み)のご負担が・・・云々?」しかも予約を取っていないので、後回しになる旨もございますとのこと。そんなの聞いていない。去年の今頃はそんなシステムは無かった。二千百円は大金だ。

 

 いまさら診療所の紹介状を取りに行く時間は無い、大金を支払う承諾をした。「整形外科は廊下に示してある青いラインをたどっていけば分かります」  指示されたとおり、廊下の青い線を忠実にカクカクと線の上を歩いていくと窓口に就いた。

 午後の1時半ごろなので窓口のソファーは患者さんでいっぱいだ。そこから少しはなれ、堅い壁が背もたれのソファーに腰を落としたが回りはやはり混雑している。車いすに座り診察を、じっと待つじっちゃま、その付添のばっちゃま。お年寄りが多いと思ったら泌尿器科の窓口に近かった。主にばっちやまらが多かった。

 そのばっちやまらは、とめどもなくおしゃべりしている。かなりの騒音に近い。やれ孫が何名、やれひ孫が何匹、家からここまでの道のりの出来事・・・等々、一人ずつ かわりばんこ話し始めるので際限ない。あけっぱなしの蛇口だ。ウチナーのばっちゃまらは元気だ。病人とも思えない。しばらく聞かされていると頭がふらふらしてきた。腰痛よりきつくなっている。

 じっちゃまは、疲れたように車いすに深く座り、頭を斜めに天井の一点を虚ろに見て、かすれた溜息を吐く。馬車馬のように働いて、何十年ローンというのをなんとか払い終わり、さあこれから年金生活だと思った時は、がたが来てしまっている。男は弱い。タンメー(短命)と言われる所以だ。ばっちゃまらの出しっぱなしの騒音を聞きながら、かすれた溜息を吐いてなぜ自分はここにいるのだと自問自答する。そして楽しいときもあったはずの人生を振り帰り、力なく溜息を絞り出す。

 人生の先輩らの悲哀を感じながら、堅い椅子に、深く座ったり浅く座ったり、しびれる腰や尻をかばいながら、騒音を聞かされながら、待つこと2時間ようやく受け付けに呼ばれDRが問診してレントゲンを撮らされ受付に渡してさらに2時間30分待たされた。合計4時間30分の時間がかかった。

 たしかに予約をしなかった自分が悪い、地域における病院と診療所の機能分担の明確化、かかりつけ医の定着化を図るなどの方針に基づき、紹介状のご持参をしなかった自分が悪い、しかしあまりにも待ち時間が長すぎる。厚生労働省の官僚が作成したシステムらしいが、末端の患者はたまったものじゃない。

 おまえさんら試しに足の骨を折って受付に行ってみろ 受付は言うだろう「お客様、当病院は、予約制となっておりますので、お客さんの診察は予約の患者さんが終了した後になりますがよろしいでしょうか?あ それから特定療養費の徴収が貴省から認められておりますのでニセンヒャクエン(税込み)をお支払いくださいませ」・・・「尚 次回から、足の骨をお折になられる時は、事前に要予約または、下町の診療所の紹介状の持参となっておりますのでご了承くださいまし」・・・と言われてみろ。

 藁をもすがる思いで飛び込んできた一見さん患者は、システムの回転からはじき飛ばされ、待ち時間は長時間となり、高い特定療養費は支払わされ、痛む患部をさすりさすり、長時間、ばっちゃまらのおしゃべりを強制的に聞かされて見やがれ。治る病も悪くなるわ、車いすの世話になり、うつろに廊下の一点をみつめて溜息を吐いてみろ。・・・・・・と一見患者は言いたい。

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タメ息

教授はレントゲン写真を見せながら、学生たちに説明した。
「この患者は、左の腓骨と脛骨が著しく湾曲している。そのため足をひきずっているのだ。
スティーブ、こういう場合、君ならどうするか言ってみなさい」
スティーブは一生懸命考えて答えを出した。


「えっと、僕もやっぱり足をひきずると思います」

・・・・・番外編 読み人知らず・・・・